書籍『スローフード宣言 食べることは生きること』を読んで ~翻訳者さんも素晴らしい方~

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環境問題

今回は、書籍『スローフード宣言 食べることは生きること』
アリス・ウォータース氏(著)・小野寺愛氏(訳)をご紹介します。

内容的に共感できたことはもちろんですが、著者のアリス・ウォータース氏や
翻訳者の小野寺愛氏の理念や活動も興味深かったので、こちらで共有したいと
思います。

この記事は、オーガニック野菜や自然農法に興味がある方はもちろん、環境問題や
社会問題に関心の高い方、あるいはこれらのテーマにあまり馴染みのない方
(むしろこういう方にこそ)に向けて書かれています。
この書籍を通じて、「私たちの世界のあり方」について考えるきっかけにして
頂きたいと思います。

書籍について

著者アリス・ウォータース氏が長年に渡って活動されてきたキャリアで培ってきた
食に関する哲学が詰まった1冊です。

私たちの生活に深く浸透している「ファストフード文化」と
「スローフード文化」を比較
して、どちらがより自分たちの
健康にいいのか、環境にいいのか、社会にいいのか、という問いを
私たちに投げかけてくる本です。

原作は『WE ARE WHAT WE EAT A Slow Food Manifesto』で、
原作の主タイトルと副題が翻訳本とちょうど逆になっていますね。

タイトルにあります「WE ARE WHAT WE EAT」は、日本語にすると
「私たちは食べるもので、できている」です。

この部分の説明としてわかりやすい文があったので書籍から一部引用します。

心ある方法で育てられたものを料理して、食べて、食卓に並べれば、身体に栄養が行きわたり、同時にスローフード的価値観をも吸収することができる

『スローフード宣言』p108「スローフード文化」より

さらに、「スローフード的価値観」は、生態系と循環を壊すことのない生きかたへと導く
と述べられています。

ここは私の感想となりますが、私たちが何を食べるかを選択することは、
日々の何気ない行動かもしれませんが、この積み重ねが、地球全体の
環境問題にも関係してくると思うと、自分の一つひとつの行動や選択には、
責任を持っべきだと思います。
環境問題が自分たちの暮らしとはかけ離れた専門家だけの課題ではなく、
もっと自分たちの身近な所からでも発生していること、自分たちの小さな決断は、
もっと大きなものを動かすことができるのだ、と信じる
ことも大事です。

書籍では、私たちに分かりやすい文章で、具体的な事例を織り交ぜてウォータース氏の
経験や思想が述べられています。自然農法に触れられていたり、レストラン経営のこと
であったり、私たち日本人にも身近に感じられる内容でした。
個人的には、米国でのオーガニックレストランに対する認識の高さに驚きました。

そして、書籍の中でウォータース氏が、福岡正信氏の『自然農法 わら一本の革命』
ついても言及されていたので、日本でも有名なこの書籍が、米国でも有名になっている
ことも嬉しく思えました。

著者アリス・ウォータースさんはどんな人?

著者のアリス・ウォータース氏について、簡単にまとめてみました。

アリス・ウォータース氏は、アメリカの食文化に革命をもたらした先駆的なシェフであり、
レストラン経営者で、そして食の活動家として知られています。

カリフォルニア州にある彼女が運営するレストラン「シェ・パニース」は、生産者から
直接食材を買い入れるアメリカ初の「ファーム・トゥ・テーブルレストラン」
として
注目を集め、予約がとりにくい人気のレストランです。
(翻訳された小野寺愛さんも、このレストランを訪問されています。)

また、スローフード運動を提唱し続ける中で、子供たちへの食育と環境教育を目的とした
エディブル・スクールヤード」プログラムも創設しています。

多数の料理本を出版されていて、今回の書籍の記念として来日もされています。
その様子がドキュメンタリー映画にもなっています。

訳者の小野寺愛さんも行動力の人でした

私は翻訳本を読むときは、必ず「訳者あとがき」から読む習慣があります。
翻訳者がどんな方なのか、やはり気になるからです。

特に環境問題のような課題を扱う書籍の場合、翻訳された方も
そういった活動をされていることが珍しくありません。
そして、今回の小野寺氏も、やはり予想通りの素晴らしい方でした。

幸いにも小野寺氏が登壇されるセミナーに参加する機会があり、
これまでの活動や、アリス・ウォータース氏に対する想いなどを
講演で聞くことができました。

小野寺氏は、16年間ピースボードで世界中を旅された後に、
地元で「小さな海辺の保育園」と「小学生のための放課後自然クラブ」を
運営されています。
この活動の原点となっている3つの理念について書籍(p218「訳者あとがき」)に記載
されていることを以下にまとめてみました。

小野寺愛氏の3つの想い

・グローバルな問題への解決策は、実はローカルにある
・平和は子どもからはじまる
・人は食べずには生きられない

アリス・ウォータース氏が来日される際の通訳や書籍の翻訳に関して、ご自身で情報を取得し、
自ら手をあげて行動されていて、その行動力にも感動しました。

私は、こういう行動されている方のお話しを聞くと、すぐに感化されます。
今回も、「チャンスは自分で取りに行かなければ」と強く感じました。
常にアンテナを張って、いつチャンスが来てもいいように準備しておきたいと
思います(*^^*)

原作も読んでみよう

翻訳にご興味がある方は、是非こういう翻訳本に出会ったら、原作本も読むことを
おススメします。

私の場合は、原作はKindleで読むようにしています。

Kindleだと辞書機能がついているので、原作を読んでいる際の単語調べが
楽ですし、マーキング箇所をノートにまとめてくれるので便利です。

先に翻訳本を読んでいれば、ストーリーが頭に入っているので、
多少の単語の知識が抜けていても、結構読めると思います。

私が翻訳の勉強に原作を使う場合は、300ワードくらいを抜き出して、
50分くらいで自分で訳し、その後、実際に翻訳されたものと照合する方法で
勉強しています。

それほど時間もかからないので、翻訳の勉強をしてみたい方は、
是非トライしてみて下さい。

今回の書籍は、「編集部注」として、「読みやすさを考慮して原著にはない
改行を適宜加えている」と注意書きがありましたので、訳文を参考にする場合は、
その点に注意されたらよいと思います。もし、改行されている箇所が見つけられたら、
日本語訳としての「読みやすさ」の工夫を勉強できると思います。

Kindleについて、私の過去の記事もよろしかったら参考にしてみてください。

まとめ

今回ご紹介した書籍を読んで、
人が生きていくのに欠かせない「食べること」について考え
見直すことで、自分自身や家族の健康、地球環境にとっても良い方向に
つながっていくとしたら、自分が何を選択すべきかをもっと考えて
行動しないといけないと、改めて気付かされました。

また、書籍を通じて二人の活動家の方を知ることができました。
こういった方たちの活動や想いは、真似することは難しいけれど、
「自分がどのように行動していけばいいのか」を考える際の、
指針にもなり勉強になります。

この書籍に興味を持って頂けたら、是非読んでみて下さい♪

最後までおつきあい頂きまして、ありがとうございます。

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